音楽雑記

Mr.Childrenの「HERO」に込められた櫻井さんの想い。いろんな角度から分析してみる。

好きな曲をもっと深掘りして、それをいろんな人に知って欲しい。
一曲分析コーナー「Tagutiの独り言」

今回はMr.Childrenの名曲『HERO』を分析してみる。

Mr.Children 『HERO』とは

この曲はMr.Children、24枚目のシングルとして2002年12月11日に発売された。
ボーカルの櫻井さんが小脳梗塞で倒れた後、復帰作として発売された曲。
櫻井さんは復帰後のインタヴューで、こう語っている。

「HEROで歌われている内容は、ある人にとっては彼女のためにHEROになりたいということかもしれないけれど、父親が子供に対して思う気持ちも強く描いた曲だと思っている。それが病気(小脳梗塞)の時に思った気持ちとリンクはしていると思う」

ひとりの人を想って歌ってる歌詞

例えば誰か一人の命と
引き換えに世界を救えるとして
僕は誰かが名乗り出るのを
待っているだけの男だ
愛すべきたくさんの人たちが
僕を臆病者に変えてしまったんだ

これは一番の歌詞。
たくさんの愛する人達ができたことで、自分がいなくなることが怖くなった。
それを冒頭の歌詞で表現した櫻井さん。出だしからグッと曲の世界観に引き込まれます。

駄目な映画を盛り上げるために
簡単に命が捨てられていく
違う 僕らが見ていたいのは
希望に満ちた光だ

僕が櫻井さんの歌詞が好きなところは、バラードの中にこういうメッセージを入れているところ。この歌詞が入ったことで、この曲はすごく深い曲になったと思います。

僕の手を握る少し小さな手
すっと胸の淀みを溶かしていくんだ

初めてこの曲を聴いた時、好きな恋人への気持ちを歌った曲だと思っていました。少し小さな手は女性の手を連想させたからです。
でも上記のインタヴューにあるように、子供に向けた歌詞だと思って聴き直すとより感動的な曲になりました。

人生のフルコースを
深く味わうための
いくつものスパイスが
誰にも用意されていて

櫻井さんにしか書けない素晴らしい歌詞。(二番のサビ)

ずっとヒーローでありたい
ただ一人 君にとっての
ちっとも謎めいていないし
今更もう秘密はない
でもヒーローになりたい
ただ一人 君にとっての
つまずいたり転んだりするようなら
そっと手を 差し伸べるよ

大サビの歌詞。何もいうことはありません。

曲の中で歌い方や楽器の重なり方が変化していく

この曲の魅力は歌詞だけじゃないんです。
むしろ僕は歌詞以上にこの曲のアレンジが大好きです。

曲が進むにつれて歌い方が変化していく

一番の出だしは聞き手へ語りかけるように歌いだします。
Mr.Childrenのバラード曲はサビで張り上げて歌う曲が多いですが、この曲は二番のサビまで高音部分はファルセット(裏声)で歌っています。

そして最後の大サビ。
ここだけ地声で張り上げて歌います。さらにライブになるとかなりの熱量で歌い上げます。もうこれだけでグッときます。これは何となく聴いているだけじゃ分かりにくいことかもしれません。でも僕らが普段聴いて感動する曲も、こんな感じで歌い方や表現の仕方が変わっているものが多いです。
ちなみに当時のプロデューサー小林武史さんも、大サビでいきなり張り上げて歌った櫻井さんを見てすごく感動したと語っていました。

演奏もすごくドラマチック

イントロが終わって櫻井さんが歌いだすと、ピアノと打ち込みドラムのみになり歌詞がスッと入ってきます。途中からエレキギターが入り、サビでドラムとベースが入ってきます。この徐々に盛り上げていく感じがすごく自然で、曲の世界観を作っていきます。
そして二番のサビからストリングスが入り、より壮大な世界観になっていきます。
大サビ前からドラムとベースが徐々に盛り上げていき、そのまま大サビで全ての楽器と櫻井さんの感情的な歌声が一体となって放たれます。

櫻井さんがライブ中に唯一、涙を流した曲?

現在観れるMr.Childrenのライブ映像は全て観ているくらいの大ファンですが、櫻井さんが感極まって歌えなくなる姿を見たことはありません。
唯一、僕が知っているのはap bank fes05で、Bank Bandとしてこの『HERO』を歌ったとき。

歌い出しから声が震えていて、いつもの櫻井さんとは明らかに違う。
実はこの日、憧れの浜田省吾さんと共演できたことが嬉しくて感極まったと言われています。櫻井さんにとってのヒーローは浜田省吾さんだったんですね。
すごく感動的な演奏なので、ぜひたくさんの人に見てもらいたい。

最後に

僕はMr.Childrenのコピーバンドでベースを10年以上担当していますが、この曲は演奏していてすごく気分が高揚します。激しい曲だけじゃなくバラード曲も熱い気持ちにさせてくれるMr.Childrenが僕は大好きです。

こんな感じで1曲をいろんな角度から見ていくと、新たな発見があって楽しい。
このブログを見ているあなたも自分の好きな曲を聴き直すことで、より深くその曲を好きになるかもしれません。